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創業137年の老舗旅館「旅館あけぼの」——有田焼の空間で味わう、春の手毬ずし御膳
1889年創業の老舗旅館、旅館あけぼの。
ここで出会えるのは、壁から床まで有田焼で彩られた唯一無二の食事処と、季節の美しさをぎゅっと詰め込んだ手まり寿司御膳。
ひと皿ごとに、佐賀の魅力が丁寧に表現されています。
さらに心に残るのが、「残りの人生は佐賀への恩返し」と語る女将のおもてなし。あたたかな想いが、訪れる人の時間を特別なものにしてくれます。
歴史と美食、そして人のぬくもりが重なる——佐賀を代表する一軒です。
創業137年、佐賀市の中心部に息づく老舗旅館
佐賀市にある「旅館あけぼの」は、1889年創業の老舗旅館。2025年4月1日の創業記念日には、137周年を迎えました。
この宿は、歴史・器・食といった佐賀の魅力を一度に味わえる場所として、地元でも長く愛され続けています。
館内に一歩足を踏み入れると、そこには創業当時の面影が色濃く残る空間が広がります。玄関から続く階段は桜の木でつくられ、やわらかな風合いが訪れる人をやさしく迎えてくれます。
さらに廊下や客室の扉、掛け軸に至るまで、歴史ある旅館の趣がそのまま残されており、まるで時がゆっくり流れているかのよう。日常を離れ、特別な時間に浸ることができます。
女将が語る、旅館を継いだ理由
現在の若女将は、旅館の裏手で生まれ育ち、大学進学を機に上京。45歳まで東京で暮らしていましたが、5年前に家族とともに佐賀へ戻り、4年前からこの宿を切り盛りしています。
その歩みは、決して平坦なものではありませんでした。コロナ禍の影響を受け、父親は「娘に継がせるのは申し訳ない。いっそ旅館を閉めようか」と悩んでいたといいます。若女将自身も、東京の仕事を続けながらリモートワークで佐賀に滞在する日々を送っていました。
そんな中、転機が訪れます。創業記念日の前日、3月31日——父親が急逝。その知らせを受け、彼女はすぐに会社を辞め、旅館の世界へ飛び込む決意を固めました。
「人生90年とすると、半分は自分のためにやりたいことをやってきた。残りの半分は、育ててくれた家族、この旅館、そして佐賀に恩返ししたい」
その言葉の奥には、深い覚悟と、ふるさとへのまっすぐな想いがにじんでいます。
全て有田焼で仕上げた「鍋島の間」
旅館あけぼのの中でも、ひときわ印象的なのが「鍋島の間」と呼ばれるお食事処です。
女将が旅館に入って最初に手がけた空間で、壁から床まで有田焼で仕上げられた、まさに唯一無二の一室。
透き通るような青のタイルが壁一面から床まで広がり、その美しさと迫力に、思わず「上から下まで全部…!」と見上げてしまうほど。
空間そのものが、まるで一つの作品のようです。
さらに、有田焼の床の下には床暖房を完備。靴を脱いで立った瞬間、じんわりとしたぬくもりが足元から伝わり、視覚だけでなく体でも心地よさを感じられます。
かつては客室として使われていたこの場所は、現在は朝・昼・夜のお食事処として活用。
予約制でランチも楽しめる、特別なひとときを過ごせる空間です。
春の彩りをまとった「手毬ずし御膳」
いちおしメニュー「手毬ずし御膳」。
丸くころんとした手まり寿司が主役の一膳は、見た目のかわいらしさと味わいの両方で、訪れる人を魅了します。
サーモンやアジ、鯛、イカ、マグロなど、多彩なネタが一口サイズに仕立てられ、ひとつひとつに職人の丁寧な仕事が光ります。
なかには桜をイメージした一貫もあり、春の訪れを感じさせる華やかな一皿です。
塩だけで仕上げた「新玉葱のすり流し」
御膳のはじまりを彩るのは、「新玉葱のすり流し」。
素材の甘みを引き出すため、味付けはあえて塩のみというシンプルさです。
ひと口含むと、新玉ねぎのやさしい甘さがふわっと広がり、思わず「うま!」と声がこぼれるほど。
余計なものを削ぎ落とした一品だからこそ、素材の力強さがまっすぐに伝わってきます。
桜の葉香る「そら豆とじゃが芋の桜揚げ」
御膳に添えられる天ぷらにも、季節の移ろいが丁寧に映し出されています。
じゃがいもとそら豆を使った天ぷらの衣には、桜餅にも使われる塩漬けの桜の葉を練り込み、春らしいひと工夫が。
ひと口目はパリッと軽やか。噛むほどにホクホクとした食感が広がり、あとからふわりと桜の香りが追いかけてきます。味わいの変化まで楽しめる、春ならではの一品です。
濃厚パンナコッタ×佐賀の柑橘ゼリー
食事の締めくくりを飾るのは、女将手作りの濃厚なパンナコッタ。
通常よりもコク深く仕上げたパンナコッタに、佐賀の柑橘とレモンを使ったやわらかなゼリーを重ねた、ひと手間かけた一品です。
スプーンを入れると、とろりとなめらかな口当たり。濃厚なコクが広がったあとに、柑橘の爽やかな酸味がふわっと重なり、後味をすっと軽やかに整えてくれます。
しっかり濃厚なのに、どこか軽やか。最後のひと口まで心地よく楽しめる、絶妙なバランスのデザートです。
佐賀の歴史・器・食が一度に楽しめる宿
137年の歴史を受け継ぎながら、女将の手で新たな魅力が息づく「旅館あけぼの」。
有田焼に包まれた特別な空間で味わう食事、素材の良さを丁寧に引き出した繊細な料理、心をほどく手作りデザートまで——この場所には、佐賀の魅力がぎゅっと詰まっています。
「残りの人生は佐賀への恩返し」
その想いは、館内の随所や一皿一皿に、やさしく息づいています。
佐賀を訪れた際は、少し足をのばしてでも立ち寄りたくなる一軒です。
店舗情報
- 店舗名:旅館あけぼの
- 住所:佐賀県佐賀市中の小路3−10

