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2021.03.09

3.11を忘れない① 震災10日後の福島

東日本大震災から10年。

FNN取材団としてサガテレビも被災地を取材してきました。

記者とカメラマンが目にした被災地の動画をサガテレビのホームページに一挙に掲載します。

未曾有の災害を忘れないために・・・

取材をめぐる当時の状況

被災地に初めてサガテレビの記者・カメラマンが入った際の報告です。大きな余震も続いていて、予断を許さない状況での取材でした。取材スタッフには、線量計の携帯、放射線量の定期的な確認、記録、報告を義務付けました。また、取材スタッフのGPS位置情報の確認も行い、本社側では常に現地スタッフの安全を確認する作業に追われていました。また、取材から戻ったあとは、過激な現場を見てきた取材スタッフの精神的ケアにも配慮していました。

放送:2011年3月30日

サムネイル

東日本大震災から2週間あまり、被災地では多くの人が余震や原発への不安を抱えながら避難所生活を送っています。FNN取材団として、先週1週間、福島県の被災地で取材にあたったサガテレビの峰松記者の報告です。

【記者リポートVTR】

(東北自動車道:3月20日)

高速道路を通ることができるのは緊急車両の指定を受けている車両だけです。先ほどからすれ違うのは警察車両や支援物資を運んでいるとみられるトラック、そういう車両が多く見られます。

(新地町:3月21日)

震災から11日目の3月21日、福島県の北部、宮城県との県境にある新地町を訪ねました。

がれきの山。町がなくなっています。津波で海岸から1キロあまり町が消えました。

このあたりには、もともと住宅があったようです。残っているのは基礎部分だけ。上の建物部分はどこかに流されてしまったようです。新地駅は面影もありません。

(野菜の直売所)

福島第一原発の事故を受け、福島県産の野菜などが出荷制限や摂取制限となりました。

地元の採れたて野菜が自慢の直売所です。出荷停止を受け、ブロッコリーは香川県産、ナスは高知県産、レタスは静岡県産と県外産のものが多くなっています。

(直売所の店長)

「品揃えは半分以下、空き台が多くなっている」

(買い物客)

「ダブルパンチです。津波と原発で」

 

【記者スタジオ報告】

(キャスター)

スタジオには峰松記者です。大地震から2週間あまりがたちましたが、現地の様子は?

(記者)

私たちサガテレビの取材班は3月20日から27日まで福島県に滞在しました。ずっと余震が続いていて、私たちがいた間にも何度か震度5クラスの余震がありました。夜も余震があるため、毎晩3~4回、目が覚める状況です。また、この震災のショックから心のケアを必要とする人も多く福島県の場合は原発への不安が続いています。

(キャスター)

先ほどの記者リポートで報告された新地町は福島県の北部、宮城県との県境になるんですね。

(記者)

福島第一原発から約50キロ離れた人口約8500人の町で、町全体の5分の1の家が津波で流されてしまいました。町が根こそぎ消えたという印象です。きのう時点で、まだ約50人が行方不明者となっていて、自衛隊や消防団が捜索を続けています。がれきの撤去も少しずつ始まっていますが、今は行方不明者の捜索が最優先という状況です。まだ「ぼうぜん」としていて、復興へ動き出すというようなところまで至っていません。毎朝、町長が防災行政無線で町民になんとか力を合わせて前に進もうと呼びかけています。

(キャスター)

今、現地で足りないものは?

(記者)

私たちが福島県に入った3月20日はまだ、店も開いていないし車も走っていない、人も歩いていない、という状況でした。これが先週の半ば頃から都市部を中心に店が開き始め、車の量も増えてきました。ただ、とにかくガソリンや灯油など燃料がいきわたっていない状況です。このため屋内退避となっている、原発から30キロ圏内の人は避難したくてもガソリンがなく車が動かせない、自宅にいると物資も届かず兵糧攻めだとの声も聞かれました。

(キャスター)

福島県産の野菜などは出荷できない状態となっていますが、原発事故の収束のめどが立たないのが一番の懸念材料ですね。

(記者)

私は福島市を中心に北部の相馬市や新地町、南部のいわき市小名浜などに取材に行きましたが、この1週間の積算の放射線量は180マイクロシーベルトでした。東京とニューヨークを航空機で1往復すると200マイクロシーベルトなので、これと同じくらいです。もちろん健康に影響があるレベルではありませんが、福島県の農業などへの打撃は深刻です。風評被害は消費者の不安から来る心理的なものなので、お金でいくら補償しても根本的な解決にはなりません。回復には相当の時間がかかるとみられます。

(キャスター)

今後、復興に向けた課題は?

(記者)

福島県について言えば、まずは原発事故が収束しないことには復興には着手できない。もう一つは、自治体間の格差です。例えばがれきの撤去にしても、費用は国が負担することになりましたが、小さい町だとマンパワーに限界があります。町の規模、体力によって復興のスピードに大きな差が出てくる可能性もありますし、現在町の外に避難している人たちがどれだけ戻ってきてくれるかも不透明です。復興への道のりは特に小さい町にとっては険しいものとなりそうです。

(終)

※動画はスタジオで記者が報告する際に放送したものです。スタジオでのキャスターとの掛け合いという構成のため、映像の一部にナレーション、字幕スーパーが入っていない部分があります。ご了承ください。

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