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2019.03.14

デスクのつぶやき 東日本大震災編 第4話「ヘリからは、目を疑う映像が送られてきた」

ようやく6階の災害対策本部にたどりつく。県庁自慢の災害対策本部は、県職員が情報収集や各種連絡を行う大部屋と県、県警、消防、自衛隊の幹部が会合する小部屋に分かれていた。小さな小学校の体育館程度の大きさがある災害対策本部の大部屋にはこれまた大きな映像スクリーンが設けられており、県の防災ヘリの映像が映し出されていた。防災ヘリは地震後、すぐに飛び立ち県内の沿岸部や原子力施設、それに河口付近などを映し出していた。

「情報はないが、ヘリテレの映像をみてしゃべろう」

そう決心し、マスターに電話をかけて、携帯電話による中継を再開した。飛び込んできたのは、目を疑う映像ばかりだった。久慈川の河口付近を映し出していた映像に、津波が川を遡上していく様子が映し出された。また、どこかの街が津波に襲われている映像や、民家の火事の映像もあった。私は見たものをそのまま伝えた。とりあえず、何かを伝える。こんなとき人間は情報がないことに不安を覚えるものだ。

「津波が河口付近を遡上しています。河口付近や海岸付近には。絶対に近づかないでください」

携帯電話にしゃべりこんだことは、そのまま放送され、県内全域に届いているはずだ。地震から1時間もたたないころだったが、電気は止まっているからみんなカーラジオなどを聞いているはずだ。少しでも被害が小さくなってほしい、と願いしゃべりつづけた。

災害対策本部内では、職員も記者も混乱していた。「災害対策本部は設置したの?」と聞く記者に対してある県幹部は「設置はこれからだよ」と答えたが、隣にいた別の職員が「震度6以上だから、災害対策本部は自動設置ですよ」と教えていた。ただ、災害対策本部はできたが、訓練通り集まってくる職員はそんなに多くはなく、全員が集まるまである程度時間がかかった。

※個人の記憶のため、事実誤認などありましたらご容赦ください。

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