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2026.06.05

畳職人の"秘密基地"がすごすぎた!工房に並ぶ手作り車の数々——玄海町「松本畳店」

佐賀県玄海町に、一風変わった畳屋さんがあります。

工房の奥へ進むと、そこには手作りとは思えない本格スポーツカーがずらり。
ガルウイング仕様の車や公道を走れるナンバー付きの車、制作に3年を費やした大作まで並び、その光景に思わず目を奪われます。

今回は、畳づくりの傍らで夢のスポーツカーを生み出す、驚きの工房の世界をご紹介します。

外から見ると「何のお店?」

玄海町今村にある「松本畳店」。
倉庫のような建物に看板は掲げられているものの、一見しただけでは畳店とは気づきにくく、「何のお店だろう?」と首をかしげたほどです。

出迎えてくれた店主もつなぎ姿で、どちらかといえば車屋の職人のような雰囲気。しかし実は、祖父の代から続く3代目の畳職人です。

昔ながらの畳店というイメージとは少し違い、店内にはものづくりへのこだわりが詰まった工房のような空気が漂っています。ここから、思いもよらない世界が広がっていました。

「畳が暇なときは……車を作る」

店主が明かしたのは、なんとも驚きの趣味でした。

「畳の仕事が暇なときに、こうやって型を作って車を作りよるとですよ」

さらりと語るその言葉に、思わず耳を疑います。

工房の中にあったのは、軽スポーツカー「カプチーノ」をベースに、上部のボディをほぼ丸ごと手作りした一台。使用しているのはFRP(繊維強化プラスチック)で、型づくりからパーツの成形まで自ら手がけ、完成したパーツを車体へ取り付けていくのだそうです。

取材時に制作していたのは、「フェアレディZ(S30)」をモチーフにした一台。FRP製のボディパーツをカプチーノに組み付けながら、少しずつ往年の名車の姿へと近づけていく作業の真っ最中でした。

畳職人の工房で進むとは思えない本格的な車づくり。その光景は、まるで自動車メーカーの開発現場をのぞいているかのようでした。

プラモデル少年が、等身大の車づくりへ

店主によると、ものづくりの原点は子どもの頃に夢中になったプラモデルでした。

「元々、小学校の頃からプラモデル作りが好きやったわけですね」

そう語る店主は、まもなく70歳。長年抱き続けてきたものづくりへの情熱は今も健在で、その対象が小さな模型から実物大の車へと広がっていきました。

「プラモデルを見ながら縮尺を考えて、ずっとやっているんです」

その言葉通り、車づくりに欠かせない型の制作もすべて独学。設計図があるわけではなく、実車や模型を参考にしながら、自ら形を起こしていきます。

さらに、若い頃に唐津工業高校の機械科で学んだ溶接技術なども活用。車体の加工からパーツ製作、型づくりに至るまで、ほぼすべての工程を自分の手でこなしているそうです。

「独学です」

そうきっぱりと言い切る姿からは、好きなことを突き詰め続けてきた職人ならではの自信と探究心が伝わってきました。プラモデル少年だった頃の好奇心が、今もなお工房の中で形になり続けています。

シャッターの奥に広がる"秘密基地"

つづいては、展示会場といわれる場所に案内してもらいました。

扉の先に広がっていたのは、黒と白のチェッカーフロアが印象的な空間。
そこには、これまで店主が手がけてきたスポーツカーがずらり。色鮮やかな車たちが並びます。

まるで自動車イベントの展示ブースか、個人が所有するプライベートショールームのよう。長年かけて作り上げてきた作品たちが、静かに存在感を放っていました。

ナンバープレートで公道も走れる

驚かされたのが、この車が単なる展示用ではないということ。車体にはナンバープレートが取り付けられており、実際に公道を走ることができます。

もちろん、見た目だけで認められるわけではありません。陸運局での構造変更検査をはじめ、保安基準に関するさまざまな検査をクリアし、正式に公道走行が認められているそうです。

趣味で作った一台と聞くと驚きますが、その完成度はまさに“本物”。店主の技術力とこだわりの深さを物語る一台でした。

カウンタックLP400は「3年がかり」の大作

展示車両の中でも、ひときわ目を引くのがカウンタックLP400をモチーフにした一台です。

ベースとなっているのは軽自動車のAZ-1。店主は本物のカウンタックとAZ-1のホイールベースを実際に計測・比較し、縮尺のバランスを計算しながら製作を進めたそうです。窓ガラス部分にはアクリル板を使用するなど、細部までこだわり抜かれており、遠目には本物と見間違えてしまうほどの完成度を誇ります。

この一台を完成させるまでにかかった期間は、なんと約3年。

「たまたま畳の仕事が暇な時期があって、それではまって作ったんです」

店主はそう笑いますが、その言葉の裏には並々ならぬ情熱が感じられます。畳職人としての仕事を続けながら、空いた時間を積み重ねて少しずつ形にしてきたのです。

もちろん、どの車も短期間で完成するわけではありません。車種によって異なるものの、畳の繁忙期を挟みながら製作するため、完成までには半年から1年ほどかかることも珍しくないそうです。

好きだからこそ続けられる——。そんな店主のものづくりへの情熱が、一台一台に詰まっていました。

まとめ

3代続く畳職人でありながら、その工房の奥には自ら手がけた本格スポーツカーがずらり――。そんな意外な光景が広がるのが「松本畳店」です。

小学生の頃に夢中になったプラモデルづくり。その好奇心と探究心は年月を経て、実物大の車を生み出すほどの情熱へと発展しました。型づくりからボディ製作、カスタムまで独学で挑戦し続ける姿からは、ものづくりの楽しさと奥深さが伝わってきます。

畳店としての歴史を守りながら、趣味の世界でも唯一無二の作品を生み出し続ける店主。その工房は、まさに“好き”を形にし続ける場所でした。

玄海町今村を訪れる機会があれば、ぜひ「松本畳店」をのぞいてみてください。畳職人が生み出した驚きのスポーツカーたちが、きっとあなたの想像を超えるはずです。

店舗情報
  • 店舗名:松本畳店
  • 住所:佐賀県東松浦郡玄海町今村6532
【2026年5月28日~29日放送 かちかちLIVE わらしべ長者の旅 より】

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