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梅雨入りだけじゃない 天気予報がもっと面白くなる“季節の言葉”の世界
記録的な真夏日となった日差しの強い一日。久しぶりにまとまった雨が降った空模様。
そして、空気が入れ替わったあとの爽やかな晴天——。
気象予報士が届けるお天気コーナー「かちっと天気」では、日々変わる佐賀の空を気象予報士がわかりやすく解説しながら、暮らしに寄り添う季節の話題も届けています。
空を見上げるのが少し楽しくなるような、そんな一週間の放送内容を振り返ります。
松尾芭蕉の俳句と日光
松尾芭蕉の俳句、「あらたふと 青葉若葉の 日の光」
『奥の細道』にも収められている有名な一句です。
「あらたふと」とは、「なんとまあ尊いことだろう」という感動を表す言葉。初夏のやわらかな日差しが、みずみずしい青葉や若葉を照らす光景に心を動かされ、詠まれたとされています。
この句が生まれた場所は、現在の栃木県・日光。
芭蕉が日光東照宮を訪れた際に詠んだもので、「日光」と「日の光」を掛け合わせた、遊び心のある表現も込められています。
新緑がまぶしいこの時期。
空を見上げながら俳句に触れてみると、いつもの景色も少し違って見えてくるかもしれません。
梅雨入りの基準って何?
「梅雨入りって、どの日を基準に決まるんだろう?」——。
実は梅雨入りには、“この日からです”とはっきり切り替わる明確な境目があるわけではありません。
気象庁では、5日間ほどの天気の移り変わりを見ながら、その“真ん中の日”を梅雨入り日として推定しています。
たとえば、週間予報の前半は晴れマークが多く、後半になるにつれて曇りや雨の日が増えていく——。そんな変化が見られた場合、その5日間の中日が「梅雨入りしたとみられる日」とされる仕組みです。
季節は少しずつ、確実に夏へ向かっています。
真夏日が増え始める一方で、これからは雨の季節への備えも必要になってきます。
熱中症対策はもちろん、傘やレインシューズの準備、洗濯のタイミングなど、“梅雨支度”も少しずつ始めておきたいところです。
この時期の雨は何色?
この時期の雨は、いったい何色でしょうか——。
「かちっと天気」では、そんな季節の言葉遊びのような問いかけも紹介されました。
選択肢は、
1番・緑雨、2番・水雨、3番・青雨。
正解は「すべて」。
緑・深緑・青といった色は、いずれも初夏の新緑を思わせる表現です。そうした若葉が生い茂る季節に降る雨を、昔から人々はそれぞれの色で表してきました。
つまり、新緑をしっとりと濡らしながら降る雨のことを、これらの言葉で呼び分けていたのです。別名として「若葉雨」とも呼ばれ、季節の情景をやさしく映し出す言葉となっています。
雨の日が続くこれからの季節。
空模様だけでなく、こうした“ことばの色”に目を向けてみると、いつもの雨も少し違って見えてくるかもしれません。
二十四節気「小満」と「蚕起食桑」
二十四節気の「小満(しょうまん)」は、「あらゆる生命が成長して天地に満ち始める頃」とされる季節です。
そんな小満の中でも、5月21日からの5日間を表す七十二候がこちら。
「〇〇起きて桑を食む」
この〇〇に入る生き物は何でしょうか——。
ヒントは、桑の葉を食べて育つこと。そして漢字1文字、読み方は3文字。
正解は「蚕(かいこ)」です。
正式には「蚕起食桑」と呼ばれ、カイコが桑の葉を盛んに食べて成長していく時期を指します。
かつて養蚕が生活の中で身近だった日本では、こうした自然の営みが細かく暦に刻まれてきました。七十二候に生き物の名前が残っているのも、その名残といえます。
小さな生き物の営みから、季節の移ろいを感じる——。
そんな視点で暦を眺めてみると、いつもの日々も少し違って見えてきます。
「五月晴れ」本来の意味は?
「五月晴れ」という言葉、今では5月ごろの気持ちのよい晴天を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし本来の意味は少し違っていました。
もともとの「五月晴れ」は、6月ごろの梅雨の合間に見える貴重な晴れ間を指す言葉だったのです。
というのも、この言葉が使われ始めた頃の「旧暦の五月」は、現在の暦ではちょうど6月ごろにあたり、まさに梅雨の季節。長雨の合間にのぞく晴天こそが「五月晴れ」でした。
つまり、もともとは“梅雨の中の晴れ”を意味する言葉だったというわけです。
それが時代とともに暦が変わり、今では「5月のさわやかな晴天」という意味で使われるように変化しました。
旧暦と新暦のズレが生んだ、言葉の意味の移り変わり。
何気なく使っている「五月晴れ」にも、季節と歴史が重なった奥深い背景が隠れていました。
まとめ
梅雨入りの基準、俳句、七十二候、そして季節の言葉。
「かちっと天気」では、空模様の変化を伝えるだけでなく、こうした空と季節にまつわる知識もあわせて紹介しています。
季節はただ移り変わるものではなく、そこには古くから受け継がれてきた言葉や感覚が息づいています。
日々の天気予報とともに、そうした“季節の物語”にも少し目を向けてみると、いつもの空がより豊かに感じられるかもしれません。
ぜひ毎日の「かちっと天気」とあわせて、お楽しみください。

