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午前4時から始まる「できたて」へのこだわり——佐賀市三瀬村「みつせ餅っ子」
もち米の価格が"2倍"になった現実
お米の価格高騰は一般的なうるち米だけの話ではありません。もち米についても同様に、価格は急激な上昇を続けています。
もち米の市中取引価格によると、山形ヒメノモチは令和6年1月の17,600円(60kg)から令和7年8月には35,500円へ、千葉ヒメノモチも17,300円から34,400円へとそれぞれおよそ2倍に上昇しています。
さらに、佐賀県はもち米の集荷数量が全国で北海道に次いで第2位です。佐賀県経済にとっても価格高騰は決して他人事ではない深刻な問題です。
氷点下の早朝、午前4時台から始まる仕込み
1月下旬の佐賀市三瀬村杠。外気温が氷点下にも達する早朝、「みつせ餅っ子」の製造工場はすでに動き出していました。午前4時台から取材の日、販売に出すためのお餅づくりがスタートします。
蒸し上がったもち米が白い湯気をあげながら機械へと運ばれ、白衣に青い手袋をつけた作業員が丁寧に餅生地を扱う姿は、まさに真剣そのものです。
なぜこれほど早い時間から仕込みを行うのか。お店の方はこう語ります。「早朝に製品を作って福岡・佐賀市方面にお届けするのに2時間ほどかかります。それでも届くのは9時・10時になる。できたてが一番おいしいのでその状態でお客さんに届けることが私たちの仕事です」。
午前7時前にできたてのお餅がトラックへ
原材料は「佐賀産」のこだわり
「みつせ餅っ子」が使用するもち米は全部佐賀産。そのうち3分の1ほどは、自分たちが直接栽培したヒヨクモチを使用しており、残りも農協の協力を得て佐賀産のヒヨクモチを仕入れています。
「三瀬村の過疎地域でなんとかお店を続けていこうということでこだわりがあります」という言葉通り、地域とともにあり続けるという姿勢が食材の選び方にしっかりと表れています。
原価が1.6倍でも、値上げを3割に抑えた理由
もち米の仕入れ価格は前年比で1.6倍、場合によっては2倍近くになったケースもあったといいます。それでも「みつせ餅っ子」はお客さんへの提供価格を3割程度の値上げに抑えることができました。
「年末になると特にお客さんが待っていてくださいます。その期待に応えなければと思い頑張っています」。自社農場で一部のもち米を自ら育てることで原価を抑え、できる限り消費者に寄り添った価格でお餅を届けようとする姿勢——その言葉の一つひとつに、長年お客さんと向き合ってきた職人の誠実さがにじみ出ていました。
実食!つきたての「あん餅」と「よもぎ餅」
「みつせ餅っ子」が経営する飲食店で、今朝つきたてのお餅を使ったメニューをリポーターが実食しました。
あん餅
「もち米の香りがものすごくよく香ります。お餅自体もとてもなめらかで、つきたてならではのもっちりとした食感。柔らかくて口どけがものすごくいい。あんこの甘さも絶妙です」。つきたてのやわらかさと、上品なあんこの甘みが合わさった、シンプルながら奥深い一品です。
よもぎ餅
口に入れた瞬間からよもぎの香りがしっかりと広がります。「あんこの甘みとよもぎの香りが合わさることでより一層おいしくなる。口の中での一体感が最高です」。どちらのお餅も、早朝から心を込めて作られた「できたて」だからこそ味わえる格別のおいしさです。
「味と健康がイコールになるように」
お店の方が語った言葉が印象的でした。「味、そしてそれが結局健康というイコールになるかということをベースに考えながらやっています」。
もち米の価格が上がり、原材料費が圧迫される厳しい状況の中でも、品質へのこだわり、地元産へのこだわり、そしてお客さんへの思いを決して手放さない——「みつせ餅っ子」のお餅には、そんな職人の信念がぎゅっと詰まっています。
まとめ
店舗情報
- 店舗名:いい・麺亭
- 住所:〒842-0301 佐賀県佐賀2768−8

