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CO2排出量4分の1削減「九州製鋼佐賀工場」が取り組む画期的なカーボンニュートラル 武雄市
鉄スクラップを活用したエコな製鉄技術
佐賀駅からSAGAアリーナへ続くサンライズストリートの美しい舗装。実はこの足元に、カーボンニュートラルの秘密が隠されています。その答えを求めて向かったのは、武雄市山内町にある九州製鋼佐賀工場です。
同工場では、建設現場などで使用される鉄筋を製造しています。注目すべきは、その原材料がリサイクル材料という点です。「鉄筋の資源料がすべてリサイクルになります」と工場の担当者は説明します。
工場に山積みされた鉄スクラップを高温の電気炉で溶かして、新たな鉄筋として生まれ変わらせる技術を採用しています。この電気炉による製法により、従来の鉄鉱石からの製鉄と比較して、CO2排出量を大幅に削減することに成功しています。
CO2排出量を4分の1に削減する革新的技術
一般的な鉄鉱石からの製鉄では、「鉄1トン作るときにCO2が2トン出ます」とのことですが、九州製鋼の電気炉による製法では、CO2の発生量は約4分の1程度まで削減されています。これは、鉄1トンあたりおよそ500キロのCO2排出量となり、大幅な環境負荷軽減を実現しています。
この技術により、私たちの生活に欠かせない鉄を、環境に配慮した方法で供給することが可能になっています。リポーターも「我々の生活を考えたときに、鉄というものは切り離そうと思っても切り離せない。そういったところでCO2の削減につなげられるっていうのは非常に大きい」と感心していました。
副産物「鉄鋼スラグ」が生み出す新たな価値
製鉄工程では、純度の高い鉄を得るために石灰石を投入し、不純物を取り除きます。「鉄は不純物を取り除くために石灰の石を入れて一緒に溶かしてしまうんです。その石灰が不純物を取り込むことによって純度の高い鉄が得られます」。
この工程で生まれる副産物が「鉄鋼スラグ」です。従来は廃材として扱われがちだったスラグを、同社では積極的に活用しています。「スラグを使っていろんなものが作れないか」という発想から生まれたのが、冒頭で紹介した舗装材「ぱどれすロード」です。
水たまりができない特殊舗装「ぱどれすロード」
「ぱどれす」とは「パドル(水たまり)」と「レス(ない)」を組み合わせた造語で、文字通り水たまりができない舗装を意味します。従来の砂利を使用した舗装と異なり、製鉄の副産物であるスラグを活用することで、「山を崩し、破砕して運搬する」という工程が不要となり、環境負荷をさらに軽減しています。
このパドレスロードは、佐賀駅前の公園をはじめ、県内各所で採用されており、製鉄業界の循環型社会への貢献を目に見える形で示しています。
海の環境再生への挑戦「藻礁」プロジェクト
九州製鋼の取り組みは舗装材にとどまりません。現在力を入れているのが「藻礁」と呼ばれる海藻栽培プロジェクトです。「我々はスラグを使って藻を海に生やしたいということを取り組んでおります」と担当者は熱く語ります。
現在、海では「磯焼け」と呼ばれる現象が深刻化しています。「海の中で藻が生えない。生えないことによって海産物が取れなくなる」という状況を改善するため、鉄分を豊富に含むスラグを活用した藻場再生に取り組んでいます。
唐津の海を舞台とした実証実験では、「海の中に畑を作ろうよ」という発想で、海の生態系回復を目指しています。リポーターも「この取り組みがきっかけに藻が広がっている絵を早く見たいですね」と期待を寄せていました。
製鉄業界全体での環境貢献への取り組み
一方で、鉄鉱石からの製鉄も重要な役割を果たしています。「鉄鉱石から鉄を生成すると純度の高い鉄が作れます。これは自動車や造船などに使われている」ため、この製鉄方法も「生活や産業を支える非常に重要な製造業」として位置づけられています。
番組では「CO2をゼロにしようって言っても、それはちょっと無理な話」として、現実的なアプローチの重要性も指摘されました。「仕方のない部分を仕方のないで諦めるんじゃなく、その中から各部門ができることを探してチャレンジしていくこと」が大切だと結論づけています。

