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熱中症対策の最前線 正しい予防・応急処置法
厳しい暑さが続く佐賀県で、今まさに注目されているのが熱中症対策です。7月22日は二十四節気の「大暑」にあたり、1年で最も暑い時期とされていますが、今年はすでに多くの場所で熱中症対策の取り組みが進んでいます。
気象庁が発表した1か月予報によると、7月下旬以降は本州を中心に太平洋高気圧に覆われ、夏空が広がって厳しい暑さになる見込みです。こうした中、社会全体で熱中症対策への取り組みが加速しています。
企業の熱中症対策が義務化 佐賀の現場でも本格始動
2025年6月から企業の熱中症対策が義務化され、佐賀県内の建設現場でも新たな取り組みが始まっています。屋外で作業が続く建設現場では、気温や湿度、日差しの強さなどをもとにした「暑さ指数」を示す温度計を目立つ場所に設置。義務化に合わせて独自の記録表を取り入れ、暑さ指数と服装でリスクレベルを判定し、従業員の対応を細かく決めています。
休憩室には経口補水液や氷、体温計などを備えるほか、掲示による熱中症対策の意識づけや声かけの徹底で重症化する前の早期発見を目指すなど、現場での具体的な対応が進んでいます。
開催時期の前倒しで熱中症リスクを軽減
さらに、佐賀市の夏の風物詩「佐賀城下栄の国まつり」も熱中症対策として開催時期を大幅に前倒ししました。これまで8月に開催されていた祭りを5月31日・6月1日に実施。日中の最高気温が38℃に迫るほどの酷暑となった昨年と比べ、今年はこどもみこしや吹奏楽のパレードなど子どもの参加が増えたといいます。
急増する熱中症による救急搬送 高齢者と子どもは特に注意
特に注意が必要なのは、意外にも「住居」での熱中症です。屋内、つまり家の中での熱中症で搬送される人が多く、特に高齢者の割合が高くなっています。
高齢者は暑さを感じにくく汗をかきにくい特徴があり、子どもは体温調節機能が未熟で地面の照り返しを強く受けやすいため、どちらも熱中症になりやすいとされています。「お互いの声かけが大切になってきます」と専門家は強調しています。
基本の予防対策を再確認
熱中症予防の基本対策として、以下の点が重要です。
- 屋外では日陰を選び、室内では扇風機やエアコンを使用
- 帽子を着用
- 吸汗・速乾素材や通気性のある衣類を着用
- こまめに水分補給
- 休養と睡眠
水分補給については、「冷たいものを一気に大量に飲むと、お腹を壊してしまう」ため注意が必要です。適度な温度で、少しずつ摂取することが推奨されています。
暑さに慣れる体づくりも重要
いざという時の応急処置方法
直ちに医療機関へ搬送が必要な症状
熱中症になってしまった場合、まず以下の症状があれば直ちに医療機関への搬送が必要です。
- 意識障害
- けいれん
- 手足の運動障害
- 高体温
- 水分が補給できない
これらの症状が一つでも該当すれば、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
現場でできる応急処置の3つのポイント
1. 涼しい場所に避難
まず患者を涼しい場所に移動させ、本人が楽な体勢にします。原則として水平にすることが重要です。
2. 水分補給
経口補水液やスポーツ飲料などで水分を補給します。キンキンに冷えたものではなく、適度に冷たい程度が胃腸への負担を避けるために効果的です。
3. 体を冷やす
体温を下げることが何よりも大事で、市販のアイスパック(保冷剤)を使って大きい血管が通っている場所を冷やします。
- 首の付け根
- わきの下
- 太ももの付け根
さらに、頬、手のひら、足の裏を冷やすのも効果的です。手のひらなどには「AVA血管」があり、ここを冷やすことでより効率的に体温を下げることができます。
全身を冷やすために、体の表面に水をかけて扇風機やうちわで風を送ることも有効です。気化熱を利用して体温を下げる効果があります。
これらの対処をしても症状の改善が見られない、様子がおかしい、全身のけいれんがあるなど、判断に迷う場合は直ちに病院へ搬送することが重要です。
予防が最も重要
専門家は最後に「熱中症は予防で0にできる病気なので、予防が一番大事になります」と強調しています。社会全体での取り組みが進む中、個人個人の予防意識と適切な対処法の知識が、この厳しい暑さを乗り切る鍵となりそうです。