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空母「加賀」元乗組員が語る「ミッドウェー海戦」爆撃で海へ…多くの戦友が沈む光景【佐賀県】
2023/08/15 (火) 18:10
15日は「終戦の日」です。81年前、日本が大きな敗北を喫し戦局が転換するきっかけとなった「ミッドウェー海戦」。この戦いに日本海軍の主力の空母「加賀」の乗組員として参加した男性が佐賀市にいます。爆撃で海へ投げ出され、多くの戦友が沈んでいく光景は記憶に深く刻まれています。
太平洋の、深い海の底。戦争に敗れた日本の軍艦が、今も静かに眠り続けています。空母「加賀」です。
【山口三次さん(101)】
「航空機100機かな…空中戦だった。そのときは我々も一生懸命。死ぬということだけは全く考えていない。死ぬために戦争に行っていたから」
佐賀市の山口三次さん101歳。
空母「加賀」の元乗組員です。
18歳のとき、志願して海軍に入った山口さん。
20歳で、「加賀」への乗り組みを命じられます。
1942年6月。
日本とアメリカが繰り広げたミッドウェー海戦です。
【山口三次さん(101)】
「喜ぶだけ。よし、いくぞと言って。沸き立った。30隻ぐらいの戦隊だった。それはもう見事なものだった」
日本が誇った、空母=航空母艦。
多数の戦闘機や爆撃機を搭載し運用する船で、「動く飛行場」とも言われます。空母「加賀」での山口さんの担当は「応急」。
艦橋の1階で、見張りや緊急対応にあたる役割でした。
【山口三次さん(101)】
「応急というのは今で言う消防士。船全体のことを全部知っておかないといけなかった」
加賀を含め、空母4隻という巨大戦力で出撃した日本。しかし…。
【山口三次さん(101)】
「アメリカが日本の暗号を解読してしまっていた」
万全の迎撃態勢を整えていたアメリカ。
山口さんがふと後ろを見ると、複数の米軍機が「加賀」に急接近していました。
【山口三次さん(101)】
「ちょうど『危ない!』と言ったときに、後方から数機。爆弾が3発入って、出撃するため待機していた第二航空隊を退避させていたら、それに命中した。火の海だった。人影がないほど燃え上がって…」
激しく炎上する船。
逃げる間もなく、今度は米軍機が山口さんがいる艦橋にも急降下してきました。
【山口三次さん(101)】
「また「危ない!」と言って、今度は艦橋めがけて来た。そのとき『退避しろ!』と言われたまでは覚えている」
爆撃で海に吹き飛ばされ、山口さんは気を失いました。
【山口三次さん(101)】
「思いついたときは海の上で戦友が何人がいて、戦友が『助けて』と言った。初めは12~13人いたが、数々力尽きて、死んでいって…」
一人、また一人と沈んでいく戦友。その中には、同期の仲間の姿もありました。
【山口三次さん(101)】
「鹿児島県からの【西薗(にしぞの)】という同年兵がいた。『お前もここにいたか』と言って流木にしがみついていた。ひどい負傷をしていたんだろう。足や腰をやっていたんだろう。沈んでいった。『おっかあ』と言って。それはかわいそうだった…」
これは、沈没した空母「加賀」の船体です。
2019年、ミッドウェー沖の海底5400mでアメリカの調査団が発見しました。
ミッドウェー海戦での日本側の戦死者は約3000人にのぼりました。
山口さんは流木に捕まりながら約8時間漂流した後、奇跡的に駆逐艦に救助されました。
【山口三次さん(101)】
「けがして負傷していたから病院船の【高砂丸】に乗って佐世保に行った。佐世保から嬉野病院に行って入院して1カ月ぐらいで治った」
その後は、海軍兵学校の教員を務めるなどした山口さん。
戦後は佐賀に戻り、子ども6人に恵まれました。
山口さんは6年前、自宅の庭に記念碑を建てました。
ミッドウェー海戦で、“自分が生還したことが申し訳ない”。強い自責の念が彫りこまれています。
【山口三次さん(101)】
「私はこのように80年も生きた。戦友と別れて『私もそのときなぜ死ななかったのか』と今は思う。戦友のことを思うと、船と一緒に沈んでいったときのことを思うと、1日としても忘れたことはない。この碑文に書いているように。死んでいった戦友に申し訳ない」
いまも毎朝、無念のうちに海に沈んだ多くの仲間を思い出しています。
【山口三次さん(101)】
「戦争はしてはいけない。こういう風に私のようにちょっともう…戦争は絶対してはいけない」
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