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"伝統の水車""一風変わった堤防" 洪水被害から生活を守るための先人の知恵と技術【佐賀県】
2023/05/16 (火) 18:40

毎週火曜日は災害企画です。今回は松浦川と厳木川による洪水の被害を受けてきた唐津市相知町の治水の歩みを振り返ります。
5月14日設置された伝統の水車や一風変わった堤防など、生活を守るための先人の知恵と技術が今も町内に遺っています。
江戸時代から約340年。唐津市相知町の町切地区に脈々と受け継がれている町切水車です。田んぼへ水をくみ上げる風景は毎年恒例の“初夏の風物詩”となっています。
この水車、実は“治水対策”として作られたのが始まりでした。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「数多くの災害の結果、住民たちが知恵を出して改善・改良を繰り返す中でこれまで伝わってきたんじゃないかなと」
相知町内を流れる厳木川。生活や稲作をする上で欠かせない存在です。
しかし大雨が降ると度々洪水を引き起こしてきたと町内の水環境や生き物を調査している石盛信行さん(81)は話します。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「厳木川は勾配がきつくて、流れがあって、流れがあるということは大雨になると水が加速する。流れがひどいと(稲が)倒れて全部さらっていくもんで被害が増大するんです」
そこで江戸時代の人たちは水路より1メートル以上高い桑畑を田んぼに変え、低い水路から水をくみ上げる水車を設置することで“洪水からコメを守る”治水対策を講じたのです。
町内に伝わる1600年代の古文書には地区に「水車が8基ある」という記録が残っています。
直径3メートル50センチ重さ約140キロの水車の最大の特徴は分解ができること。稲作の時期以外には分解して保管することで、長期にわたり使うことができる工夫で、全国的にも珍しいとされています。
戦後、1955年には20基以上の水車が設置されましたが、減反政策や農家の高齢化でコメを作る人が減り、その数は2基までに減少。生活を守る知恵を次の世代に伝えていこうと、地元の保存会によって受けつがれています。
【町切水車保存会 長友貞美さん】
「だんだん歳とってですね、これからは若い子たちに(取り組みへ)もう少し入ってもらうような対策を今後考えていきたい町切の財産なので、それだけは守っていきたい」
もう一つ、町内には治水対策の“跡”が遺っています。
町内を流れる松浦川に平行…ではなく、ほぼ垂直に造られた高さ約2メートルの堤防。これが横堤(よこてい)です。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「上流側で水があふれるので、横堤で閉め切って水を遮断して、下流側の田んぼに必要以上の水が来ないように稲作への影響が最小限で済むような役割を横堤がしたんじゃないか」
明確にいつ造られたのかは分かっていませんが1881年、明治14年の地図には横堤が記載されています。
松浦川の蛇行した部分で氾濫が起きたとしても、横堤で水を食い止めて“下流地域の冠水を防ぐ”という狙いです。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「完全に災害を防ぐことはできないけども、“減災”につながる絶対必要な構造物。生きるための知恵は地元の人たちの創意工夫によるものと考えると住民の人たちの知恵の結集ですよ」
石盛さんによると、町内には、流れが早い厳木川や松浦川の蛇行地点などに5つの横堤が確認されています。
川沿いに遺る先人の知恵と技術は水害への備えの大切さを今も伝えています。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「将来に向けて自分たちの生活にどんな備えをしたらいいのか、先人たちの知恵をどう活かしたらいいのか。そういうことを考えて生きていく時代に突入したんじゃないか」
5月14日設置された伝統の水車や一風変わった堤防など、生活を守るための先人の知恵と技術が今も町内に遺っています。
江戸時代から約340年。唐津市相知町の町切地区に脈々と受け継がれている町切水車です。田んぼへ水をくみ上げる風景は毎年恒例の“初夏の風物詩”となっています。
この水車、実は“治水対策”として作られたのが始まりでした。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「数多くの災害の結果、住民たちが知恵を出して改善・改良を繰り返す中でこれまで伝わってきたんじゃないかなと」
相知町内を流れる厳木川。生活や稲作をする上で欠かせない存在です。
しかし大雨が降ると度々洪水を引き起こしてきたと町内の水環境や生き物を調査している石盛信行さん(81)は話します。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「厳木川は勾配がきつくて、流れがあって、流れがあるということは大雨になると水が加速する。流れがひどいと(稲が)倒れて全部さらっていくもんで被害が増大するんです」
そこで江戸時代の人たちは水路より1メートル以上高い桑畑を田んぼに変え、低い水路から水をくみ上げる水車を設置することで“洪水からコメを守る”治水対策を講じたのです。
町内に伝わる1600年代の古文書には地区に「水車が8基ある」という記録が残っています。
直径3メートル50センチ重さ約140キロの水車の最大の特徴は分解ができること。稲作の時期以外には分解して保管することで、長期にわたり使うことができる工夫で、全国的にも珍しいとされています。
戦後、1955年には20基以上の水車が設置されましたが、減反政策や農家の高齢化でコメを作る人が減り、その数は2基までに減少。生活を守る知恵を次の世代に伝えていこうと、地元の保存会によって受けつがれています。
【町切水車保存会 長友貞美さん】
「だんだん歳とってですね、これからは若い子たちに(取り組みへ)もう少し入ってもらうような対策を今後考えていきたい町切の財産なので、それだけは守っていきたい」
もう一つ、町内には治水対策の“跡”が遺っています。
町内を流れる松浦川に平行…ではなく、ほぼ垂直に造られた高さ約2メートルの堤防。これが横堤(よこてい)です。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「上流側で水があふれるので、横堤で閉め切って水を遮断して、下流側の田んぼに必要以上の水が来ないように稲作への影響が最小限で済むような役割を横堤がしたんじゃないか」
明確にいつ造られたのかは分かっていませんが1881年、明治14年の地図には横堤が記載されています。
松浦川の蛇行した部分で氾濫が起きたとしても、横堤で水を食い止めて“下流地域の冠水を防ぐ”という狙いです。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「完全に災害を防ぐことはできないけども、“減災”につながる絶対必要な構造物。生きるための知恵は地元の人たちの創意工夫によるものと考えると住民の人たちの知恵の結集ですよ」
石盛さんによると、町内には、流れが早い厳木川や松浦川の蛇行地点などに5つの横堤が確認されています。
川沿いに遺る先人の知恵と技術は水害への備えの大切さを今も伝えています。
【自然と暮らしを考える研究会 石盛信行さん】
「将来に向けて自分たちの生活にどんな備えをしたらいいのか、先人たちの知恵をどう活かしたらいいのか。そういうことを考えて生きていく時代に突入したんじゃないか」
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