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佐賀大学が酒米を開発 受け継がれてきた研究成果で初の酒造り 「みんなに愛される日本酒に」【佐賀県】

2022/02/17 (木) 18:20

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日本酒の原料となる酒米を佐賀大学が開発しています。
2022年、その酒米を使った初めての酒造りが始まりました。
基山町の酒蔵では2022年も日本酒の仕込みが進んでいます。

2022年は、佐賀の酒米を使った新しい酒の仕込みも始まっています。
企画したのは、「TeamSAGASAKE」。
佐賀の酒の普及を目指して約2年前に設立された団体で県内の日本酒愛好家やソムリエなどで構成されています。

【「TeamSAGASAKE」会長 北村和秀さん】
「コロナ禍において蔵が造った酒が売れないと。非常に厳しい状況になってるわけですね。特にこの日本酒だけをとってみると。佐賀の酒を元気づけようと」

このプロジェクトのカギを握るパートナーが佐賀大学です。
今回の日本酒造りで使うのは佐賀大学が開発している酒米です。

【佐賀大学 藤田大輔准教授】
「佐賀県では日本酒を醸造している酒蔵さんがけっこうありまして、そういったところでは主に『山田錦』を使ってます。なるべく佐賀県で作ったような品種というのを使ってもらいたいなというのもありまして、この酒米の開発を行っています」

酒米として有名な「山田錦」。
県内でも栽培されていますが、台風が接近することが多い佐賀では、山田錦の「ある特徴」が栽培を難しくしています。

【佐賀大学 藤田大輔准教授】
「山田錦は背が高い特徴を持っているため収穫するときに非常に倒れやすいような特性を持っています。その特性を改良したような酒米系統を開発する目的で、稲の背が低い『レイホウ』という品種の酒米を交雑して、それを用いて佐賀の環境での栽培に適したような酒米系統を開発している」

佐賀での栽培のしやすさに加え、おいしい酒ができる米でないと酒造会社から使ってもらえません。
藤田准教授の研究グループが目を付けたのが酒米の「心白」という部分です。
粒の中に見える白い部分。
この「心白」こそが、おいしい日本酒を作る上で重要な役割を果たします。

【佐賀大学 藤田大輔准教授】
「『心白』がお酒を仕込むときのこうじ菌が増えやすい箇所になりまして、この『心白』の発現率が高ければ高いほどこうじ菌が増えやすくてよりおいしいお酒ができる傾向があります。」

佐賀で栽培しやすく、心白が多い酒米の開発。
佐賀大学は、6年以上前から研究していて、藤田准教授をはじめ、学生や技術員に受け継がれてきました。
2021年は、約70種類の稲を栽培し、400サンプル以上の米の心白発現率を分析するなどようやく地道な研究の成果が現れつつあります。

【佐賀大学4年 冨重志織さん】
「この心白が出ているかどうかっていうのを数えていくんですけれども、その数えていく過程で自分の目を使って一つ一つ数えていくので時間と労力がかかって大変でした」

【佐賀大学技術員 有田隆史さん】
「データを出していくとどんどん酒米の心白の発現率だったり粒の大きさだったり、そういうのが良くなってくるのが目に見えて分かるのは、すごくやってて達成感があるなというふうに思います」

酒米は、2021年、約700キロが収穫され、そのうち500キロが今回のプロジェクトに提供されました。
その酒米を使った酒造りが1月から始まりました。
酒造りをするのは「基峰鶴」などで知られる基山町の酒造会社「基山商店」です。

【基山商店専務 小森賢一郎さん】
「比較的やっぱり普段食べるお米に比べると粒が大きくて『心白』っていうものもしっかり入っていて、見た目はちょっと期待できるのかなという気はしております」

こちらは、日本酒の元となる「酒母」です。
蒸した米にこうじ菌を混ぜ、発酵させています。
現在は、この「酒母」を元に大きなタンクで発酵させる仕込みの段階。
タンクの中で約1カ月。
じっくり発酵させ、もろみができると、ようやく初搾りを迎えます。

【小森さん】
「お米だけに注目してみるとまぁ比較的しっかりこう味わいがあって、旨味のあるそういうお酒になるんじゃないかなとは想像してます。基山商店らしさ出しながらしっかり旨味のある、みんなが楽しんで飲めるようなお酒になればいいかなと」

日本酒の名前は「小さな森」に決まりました。
4合瓶、約1000本分ができる見通しで、初搾りは3月上旬ごろを予定しています。

【佐賀大学 藤田准教授】
「佐賀県の農家さんに実際に作ってもらえるような酒米を開発できればと考えています。佐賀大学で開発したような酒米品種というのを広げていきたいと考えています」

【「TeamSAGASAKE」会長 北村和秀さん】
「これから造られていく日本酒が、日本酒の好きな人から愛され、それから佐賀県の人たちから愛され、それがスタートになって、そして国内、海外へと。佐賀ブランドとしてね。それがひいては地域の地場産業の応援とか酒蔵の応援とか、そういうのにつながれば」

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