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きっかけは高校生のアイデア 「藻類」飼料で卵開発・商品化 抗酸化作用「アスタキサンチン」含有

2021/08/05 (木) 19:40

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「脱炭素」の取り組みが国内でも広がりつつある中、佐賀市の二酸化炭素を分離回収する事業から、ちょっと変わった卵を開発する新しい取り組みが始まっています。きっかけは高校生のアイデアでした。

 佐賀市三瀬村にある養鶏場。ムーラン・ルージュという会社の石井利英社長が経営しています。ここでは、ニワトリのエサにあるものを混ぜています。【ムーラン・ルージュ石井利英社長】「これがヘマトコッカスっていうものなんですけど」「藻なんです。藻を乾燥させてフレークにしたものだと思います」ヘマトコッカスには、抗酸化作用があり健康や美容の分野で注目されるアスタキサンチンという成分が多く含まれています。これをエサに混ぜて食べさせると、卵から、普通は含まれないアスタキサンチンが検出されました。【ムーラン・ルージュ石井利英社長】「食べさせて一か月くらいでまず一番初め検査に出した。その中で少し(アスタキサンチンが)出ていたもので、ならこれ続けてみようかということで。徐々に増えていったもので。ああこれは卵に乗っていっているなと」Q(もともと)ヘマトコッカスってご存じでした?「いえ全然知らなかったです」「まああの、学生の提案で佐賀市が動いて、その佐賀市からの話の中で」

 事の始まりは、去年10月。県内の高校生による政策提言コンテストで弘学館高校の生徒たちが発表し、最優秀賞に選ばれた政策です。【弘学館高校3年・松尾圭吾さん】「ムツゴロウをより佐賀の基盤になるものとして扱っていくには、どうしたらいいだろうと考えたのが一番最初で」「ムツゴロウのエサである藻が藻類が二酸化炭素で育てられるということで、二酸化炭素分離回収施設という佐賀市が持っている世界有数の技術を使って」「それをムツゴロウに食べさせて、安定的に生産が出来るんじゃないかということで」

 地球にやさしい環境対策の一環として佐賀市は、清掃工場の排ガスから二酸化炭素を分離回収して再利用するバイオマス事業を展開しています。松尾君は、中学生の時に施設を見学したことがあり、覚えていました。民間企業の施設に二酸化炭素が送られ、ヘマトコッカスなどの藻類に光合成させることで、培養しています。【佐賀市・増本嘉浩藻類産業推進室長】「彼らのプレゼンを見た時に、やっぱりちょっとすごく夢がある話だったんですけど、無理があるなというところがあったんですね。それが、一つはムツゴロウが養殖されているもじゃないというところです、一点目。もう一つが、今佐賀で培養されている藻類というのが、淡水性なんですね」「ムツゴロウのエサになりえないんじゃないかという部分ですね」

 藻類をエサにするというアイデアをムツゴロウではない別のもので実現できないかと考えて行き当たったのが、佐賀市内でパン屋を営むムーラン・ルージュの卵でした。【佐賀市・増本嘉浩藻類産業推進室長】「前は商業振興課というところにいたんですね。その時に地場産品とかいろんな販路拡大のお手伝いをしている中で、(石井社長が)一生懸命トライされているという姿を見ていたんですね。もしかしたらあの情熱、彼の情熱に、その、高校生たちの情熱がもしかしたらうまくマッチングするんじゃないかなとは思いましたね」【弘学館高校3年・戸嶋康陽さん】「元々コンテストに応募して発表して、まあ、お終いなのかなと思っていたので、実際取り入れてもらったので、うれしかったですよ。自分たちのアイデアが実際行われたので、政策で」

 佐賀市から話を受けたムーラン・ルージュは、藻類を培養している企業からヘマトコッカスを買い取り、今年1月から実験的にエサに入れ始めました。そして今年4月に、アスタキサンチン入りの卵の商品化にこぎつけました。バイオマス事業の藻類はこれまで主に化粧品やサプリメントに使われていましたが、生鮮食品に活用されたのは初めてです。

 新開発の卵は、アスタキサンチンの赤い色味が表れて、黄身が濃い橙(だいだい)色なのが特徴。4月下旬には、卵かけ御飯の専門店をオープンしました。【卵かけ御飯食べた客】「卵黄がすごい濃厚で、色も見たことないくらい鮮やかな色で、びっくりしました」【卵かけ御飯食べた客】「白身もなんか、ツルッとしていて、なんか喉を通る時嫌な感じがせずに、すごい美味しかったです」現在、新しい卵を使ったバウムクーヘンも試作中です。

 「脱炭素」、「カーボンリサイクル」、「SDGs」。国際機関や日本政府、そして自治体が対峙する大きな課題への取り組みは、いろいろな立場の人たちの発想や思いによって、活気づいていきます。【弘学館高校3年・戸嶋康陽さん】「(コンテストが)50点満点あって、そのうちの10点が『そのSDGS視点を入れる』で」【弘学館高校3年・松尾圭吾さん】「今回の政策提言みたいに10点分稼ぐための下世話なものかもしれないけど、それを一つ一つ達成されていけば、最終的には社会をよくする方法に、その選択一つ一つが寄与していくのかなと」

【佐賀市・増本嘉浩藻類産業推進室長】「『こういう提言、最優秀賞とかコンテストで獲ったってどうせ大人は聞いてくれないんですよね』とそういうニュアンスの発言があったんですよね、最初やりとりした時に」「『じゃあ大人の力見せちゃる!』というのはありましたね」

【ムーラン・ルージュ石井利英社長】「脱炭素って大きく考えんでも」「小さいんだけどその積み重ねでみんなが少しでも良くなったら」「まあ、一人一人の考えとしては小さいんですけど、ただそういう中で人がつながっていくという中で大事じゃないかと思います」

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