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冷え込みの要因「放射冷却」とは?気象予報士が解説 霜との関係も
ウェザーニューズの気象予報士が解説する『お天気箱』。担当は甲斐隆宏さんです。
今回のテーマは「放射冷却と霜」についてです。
最近の冷え込み:寒気と放射冷却の影響
今週(10/31~)の最低気温を振り返ると、前半は平年より高い日もありましたが、強い寒気が流れ込んだ3日からは平年を下回り、ぐっと冷え込みが強まりました。ここ数日は布団から出るのが億劫になるような寒さです。
この冷え込みの理由としては、寒気だけでなく「放射冷却」現象も関係しています。
放射冷却とは?
放射冷却とは、地表の熱が空へと逃げていくことで、地表付近の気温が低下し、冷え込みが強まる現象を指します。
放射冷却が強まる3つの条件
放射冷却現象が強まるには、以下の3つの条件が揃うことが重要です。
- 夜、よく晴れていること: 雲は布団のような役割を果たし、地表からの熱が宇宙空間へ逃げるのを防ぎます。
また、雲自体が熱を吸収し、地表に放射する働きもあります。そのため、夜間によく晴れていると放射冷却が強まります。 - 空気が乾燥していること: 空気中の水蒸気も雲と同様に熱を吸収しやすいため、水蒸気が多いと熱が逃げにくくなります。
空気が乾燥していると、熱がスムーズに逃げやすくなります。 - 風が弱いこと: 風が強いと、地表付近の空気と上空の空気がかき混ぜられるため、地表の熱が逃げにくくなります。
風が弱いと、地表の熱がスムーズに空へと逃げやすくなります。
まとめると、「夜間にからっと晴れた風の弱い日」は放射冷却現象が強まるということになります。
特に、朝日が出る前が最も気温が下がり、放射冷却現象が強まります。
霜とは?放射冷却との関係
もう一つのテーマは「霜」についてです。
霜とは、気温が下がることで空気中にある水蒸気が凍り、地表の物体に付着する現象です。
10月5日には、冷え込みによって霜が発生したというリポートが届きました。稲刈り後の田んぼなどで、地表面が白くなっている様子が確認できます。
霜注意報について
「霜注意報」は、主に農作物に対する注意喚起として発表されます。今週(10/31~)のように急に寒さが訪れ、霜が発生すると、農作物に被害を及ぼすことがあるため、注意報が発表されます。
霜注意報が出される期間は、11月30日までが早霜、3月15日以降が遅霜の期間となります。真冬の期間は、気温が下がり霜が降りやすいのが当然であるため、あえて霜注意報は発表されません。霜対策を始める前の今の時期だからこそ、注意報で注意喚起を行っているのです。
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