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ピックアップ

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2023.12.10

様々なニーズに応え続け約2000種類の刃物製品を製造 多久市「吉田刃物株式会社」

多久市にある「吉田刃物株式会社」
1946年創業
調理用刃物や園芸・農業用刃物を製造、直売所も併設しています。
刃物の切れる仕組み

刃物の構造を簡単に示したものがコチラ
真ん中にある、青で色づけした部分の「鋼」で モノを切ります。
製造工程で、「鋼」の周りにある「軟鉄」を研ぎ、表に出た鋼の部分でモノを切っているんです。

今回、製造を見学するのは、園芸用の刃物「ねじり鎌」です。
みなさんも草むしりなどで使ったことがあるのではないでしょうか?
包丁とは構造は違いますが、こちらも、強くて丈夫な鋼の部分で草を根っこからパワフルに刈り取ります!

工場へ!

こちらは、ねじり鎌の材料です。
軟鉄と鋼を溶接した材料を熱して伸ばす
熱した材料を機械で出し入れさせていくと、どんどん薄く伸びていきます。

薄く伸ばしたものがコチラ

作業場から距離はありますが、夏はとても暑くて大変な作業なんだそうです。

伸ばした材料を製品の形状に型で抜く

続いて、薄く伸ばした材料を製品の形にあわせて型で抜きます。

抜いた刃に柄を取り付ける棒状の部分を溶接

溶接するのはロボットが行います。
溶接が終わったら、再度温めて型打ち鍛造を行います。

成型(型打ち鍛造)

再度熱し叩いて成型していきます。
叩くことで強度も高まります。

叩いた衝撃で溶接部分も平らになり、だんだんと刃物らしくなってきました。
この後、刃物作りで一番大切な工程に入ります。

焼き入れ

刃物で一番大事な工程の「焼き入れ」を行います。

鋼は、この「焼き入れ」という作業を行って初めて「ものを切ることが出来るもの」になるんです。

型打ち鍛造した刃を約800℃に熱する

「電子レンジ」と同じ高周波を使っており、とってもパワフルです。

熱した刃を油につけて急冷

熱して急冷することで焼き入れ完了です。

「焼き入れ」の作業をやりすぎて、かえって刃物の切れ味が悪くなってしまう様子を語源とする「慣用句」として「焼きが回る」という言葉があります。
「焼きが回る」…主に加齢などで衰えたり、腕が落ちた様子を表す

実際に刃物に「焼きが回る」と、温度が過度に上がると組織が壊れ、切れ味が悪くなるそうです。

焼き入れで反った刃のひずみを取る

焼き入れが終わると、次は焼き入れによって反った製品をまっすぐに整える工程を経て…

研磨して鋼の部分を表に出す

「研磨」の作業へ。ものを切る鋼の部分を表に出します。

小刃付け

刃の劣化を抑える小刃付けの作業を行います。
そして、切れ味を持続させるために、刃先だけを更に研ぐ小刃付けという作業を施します。

上が研磨後、下が研磨前

研磨後の刃は切れ味抜群です。

柄を付ける棒の部分を曲げる作業

この作業で一気に見た目が鎌らしくなります。

サビ防止加工などの仕上げ作業を施して持ち手部分の柄をつけるとねじり鎌の完成です!

吉田刃物 直売所

こちらは工場隣接の直売所です。
園芸や農業で使う様々な刃物がたくさんありました。
切る対象物に応じて刃の厚さ等を変えています。
包丁など調理用の刃物もたくさんの種類があります。

こちらは全長約15cmの小さめの包丁で「柿の皮むき」専用包丁です。

小さく小回りが利いて、とても剥きやすいです。
佐賀市大和町の「柿むき大会」でも使用しています。

こちらの細長い棒は、吉田刃物で特注で作られたもので「手づくりウナギ掻き」です。

船の上からこの棒で川の中をかいて、尖ったところにうなぎをひっかけて捕るそうです。
このように様々なニーズに応え続けて、これまで作った刃物製品はのべ2000種類を超えたそうです。

吉田刃物 中村さん「お客様のニーズにあった、刃物づくりを心がけていきたいと思っております」
【2023年12月7日放送 かちかちPress 工場walkerより】

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