基山町にある「田口電機工業株式会社」

お客さんから製品を預かり、めっき加工を行っている会社です。
50種類以上のめっきを取り扱っているためめっきのデパートとも呼ばれています。

めっきとは、金属の薄い膜でコーティングすることです。
金属のお化粧のようなものです。

このクリップにめっき加工していきます。

液体が入ったタンクに入れます。
段々と色づいていっています。

約30秒で金色になりました！

先ほどの体験では、「金めっき」をしました。
他にもたくさんの種類のめっきがあります。種類によって特性が違い、特性は大きく分けて3つあります。

めっきの大きな3つの特性

• 耐食性
• 機能性
• 装飾性

めっきの特性1「耐食性」

サビを防ぐ効果をもたらせます。

めっきの特性2「機能性」

何らかの機能をもたせます。
滑りやすくする。電気を通りやすくする。など。

めっきの特性3「装飾性」

見た目を美しくします。
装飾性を施すめっき加工は蛇口にも使われています。
銅・ニッケル・クロムの3種のめっきを重ねることで、蛇口に輝きを与えています。

約20個の水槽があります。

めっきを施す素材を、槽の液体につけて・出してを繰り返し、めっき加工を行っています。

今回は、鉄製の素材をサビにくくするニッケルめっきの現場を見学します。

素材を最初の槽へ運ぶ

屋内クレーンを使って移動させます。

脱脂(油を取り除く)

めっき加工するための前処理です。
15分ほどつけます。

金属の素材は加工時に油が付着するため、油を溶かす液体に素材をつけます。
油が付着したままだと"めっきがつきにくい"そうです。

電解脱脂

先ほどの脱脂の工程で落としきれなかった油を電気の力で落とします。

【その他の処理】
酸洗い・中和処理など、前処理だけでたくさんの工程があります。
これらの前処理は綺麗にめっきを施すためにとても重要な工程です。

ニッケルを溶かした液体につける

こちらの画像はニッケルを溶かした約90℃の緑色の液体です。

めっきは、45分つけて0.01ミリつくそうです。

めっき処理中は、化学反応でガスが発生します。
左右にゆらゆらと動かすことでガスの付着を防ぎ、均一にめっきを施します。

45分経過し、持ち上げます。
めっき処理完了です。

前処理・めっき処理・後処理で色々な薬品につける作業を行いましたが、各工程の薬品が混ざらないようにするため、それぞれの間に"水洗い"を行っています。20個ある水槽の半分は水が入った槽になっています。

めっき処理後は、製品の変色を防ぐなどの後処理へ進みます。

様々な処理が終わった後は、乾燥させます。
その後、"めっきの厚さ"や"見た目の検査"を受けて完成です。

研究開発室では、様々なナノテクノロジーの研究を行っています。

こちらは、0.1ミリの歯車です。
しかし肉眼ではどこにあるかわかりません...

顕微鏡で見てみると見えました！

めっきの技術を応用し、ナノサイズの部品を作っています。

「シンクロトロン光」という強いX線を当て、プラスチックで型を作ります。その型にめっきを施すことで小さな部品を作っています。
難しい工程です。

この技術(ナノテクノロジー)は医療用ロボットの開発などで活躍しています！

新技術による試作品

4連結駆動ギアです。

左から1.5ミリ、1ミリ、1.5ミリ、2ミリと小さな歯車を組み合わせたギアです。

全自動排水処理施設

敷地内にある施設です。
完全自社設計しています。

めっきを施すには、たくさんの薬品を使っています。そのため薬品が混ざった排水がたくさん出てしまいますが、こちらの設備では工場で使用する有害物質を無害化しています。
環境対策もしっかり対策しています。

代表取締役 田口さん「私たちは、半導体の製造装置や自動車などいろいろな物にめっき加工を施しています。また、その技術を応用してナノテクノロジーなどの開発を行っています。このようなナノテクノロジーなどで世界最先端の技術開発をして、未来の社会に役立つようなグローバルな企業を目指してます。」