あけぼの菓子舗

佐賀市呉服元町の「あけぼの菓子舗」

1865年創業のこちらでつくっているのは佐賀の伝統菓子「逸口香」

逸口香（いっこっこう）

優しい甘さ、爽やかなショウガ風味で中に空洞があるのが特徴のお菓子です。

曾祖父の代から150年以上つづく味を受け継ぎ、ひとりで守っているのが店主の小野桂子さん。

あけぼの菓子舗でのこだわりは？

昔から国産の材料、佐賀県産の小麦や沖縄産黒砂糖などを使っています。

150年以上変わらぬ製法で作られています！

小麦粉をふるい 円状に広げる

円状にふるって、後は真ん中をへこませていきます。

窪みの中に水飴を流し込み 混ぜる

少しずつ混ぜていくために、なるべく広げて少しずつ混ぜていきます。

混ぜ加減によって食感が異なるため、食感を調整するため少しずつ混ぜます。
最初の段階で食感にまで影響が出てくるんです。

あけぼの菓子舗の逸口香は、昔ながらの噛み応えがある食感として仕上がるようにこねています。

こうしてまとまった生地は「寝かせる」「こねる」を数回繰り返します。

道具も昔から変わらぬものを！

小野さんが生まれる前から使用されていた鍋は、何年物かも分からないほど頑丈なものです。

小麦粉・黒砂糖・水飴を混ぜる

黒砂糖、小麦粉、水飴を鍋に入れて混ぜ合わせます。

さらにここで登場するのが逸口香の味の特徴でもある「ショウガ」

ポイントとなるショウガの量は、湿度や気温によって調整されています！
小野さんの中での感覚のみで、量ったりもしないそうです。

小野さんは職人歴30年ですが、小野さん曰く「感覚はまだ養っている途中」なんだそうです。

あけぼの菓子舗の逸口香には黒砂糖をつかった「黒」

生地をのばす

まずは生地を伸ばします。

餡はこのように小さく丸めた状態に。

おもりがついていない方に 生地と餡をのせる

こちらは小野さんのおじいさんが手づくりした「はかり」の道具。

片方におもりがついており、平衡になれば計量完了。
釣り合っていなければ生地や餡の量を調節していきます。

餡を引くか、生地を引くなどはどんな感覚でやっているのか

下村さん「バーっと並べてみてみると、大きさが全然違うから上から見て、ちょっと小さいなと、大きいなとかでやっています」

今どきの量りを試してはみましたが、やっぱり昔ながらの道具が最適なんだそうです。

餡を生地で包み 丸める

計り終わったら餡を生地で包み、丸めていきます。

麺棒で薄くのばす

均一にどんどんのびてきています。

転がしてのばしながら形を整える

何度も繰り返し、徐々に丸く大きくしていきます。

どれぐらいまでのばすか、というのも感覚とのこと。

試し焼きを行い、その日の生地の状態を確認しているそうです。

釜の中に鉄板を入れて片面を焼く

なぜ、片面だけを焼くのかというと薄く焼き上げるため。

窯で焼くと全体的に熱が加わるため生地が膨らみやすいんです。

あけぼの菓子舗では膨らみ過ぎるのを防ぐため、片面だけ窯で焼き、もう片面は別の機械で焼くんです。
もう片面は下からのみ熱が加わる機械で焼いていきます。

裏返すといい焼き色に仕上がっています。

アツアツの逸口香は餡がトロッとしています。

美味しく、香ばしいです。ショウガの風味がとてもホワ～っと広がります。焼きたてはサクサク食感！

だんだん冷えてきたらガシッとして落ち着いてきます。

下村さん「昔から変わらない製法で作って、昔から食べていただいている懐かしい味を変えずにずっとつなげて残せたらなと思います」

販売されている状態の逸口香をいただきました。
ショウガの香りが爽やかです。白の餡の甘さがほんのり来るためショウガのピリッ感や爽やかさが強調されます。
水飴のネトっとした感がクセになります。

逸口香は中に空洞があるのも特徴のひとつですが、この空洞は焼いて皮が膨らむときに溶けた餡が皮にくっついて固まることでできるんだそうです

佐賀市内に伝わる逸口香はあけぼの菓子舗さんのように薄めの形が多く、長崎県のは厚みがある丸い形、そしてその間の地域は中間位の厚みが多いんだそうで、地域ごとに違いを楽しむのもおもしろいかもしれませんね！