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2019.03.12

デスクのつぶやき 東日本大震災編 第3話「地震から10分後、生放送に一報を」

目の前の事象に集中しようとしていた。

番組を放送する機器などがあるマスターと呼ばれる部屋の直通電話をかけると、その時間帯のディレクターが会社も停電し、信号も止まっていることを告げてくれた。会社は自家発電機があるので1日位の放送は大丈夫だ。

すぐさま、即席の中継をすることになり、その携帯電話からさきほどの揺れや県警本部の壊れ具合、県庁前の交差点の信号が消えていること、詳しい被害の情報はまだ分からないことなどをリスナーに伝えた。地震発生から10分後だったと思う。

一報を伝え終わると、今度は県庁の6階の災害対策本部室を目指した。これだけ大きい地震ならば県や県警、自衛隊などの関係機関が集まり、災害対策本部を設置するはずだ。そこからなら、なんとか情報を得られるかもしれない。県警察本部の玄関から県庁の玄関までは100メートル弱だ。すぐさま向かうと2階の玄関のドアガラスは粉々に壊れていたが、建物自体はしっかりしているように見えた。余震が続くなか建物に入る。一瞬、9・11のテロで崩れ落ちるビルの姿と結婚4年目の妻と1歳7カ月の長男の顔が浮かんだが、振り切って入った。

25階建ての県庁内にはなにかを告げる警報が鳴り響いており、非常階段は避難する人でいっぱいだった。しかし、私を含めて上の階を目指す人は数人しかいなかった。

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