佐賀のニュース

  1. トップ
  2. 佐賀のニュース
  3. 「あと10年先だったら参列できなかったかも」戦後80年 高齢化進む 戦没者追悼式【佐賀県】

「あと10年先だったら参列できなかったかも」戦後80年 高齢化進む 戦没者追悼式【佐賀県】

2025/10/16 (木) 18:19

サムネイル
今年は戦後80年の節目の年です。県は20年ごとに戦没者追悼式を開催していますが今年は10年前倒しで開かれました。「あと10年先だったら参列できなかったかもしれない」と、高齢化が進む遺族は特別な思いで参列していました。

【県遺族会 西田富子会長】
「私たち遺族の思いが世界中に伝わり、一日も早く戦争のない、皆が笑って過ごせる平和な日々が訪れることを切に願います」

10月8日に行われた佐賀県戦没者追悼式。
太平洋戦争までの3万5000人を超える戦没者に思いを馳せます。
これまで戦後30年、50年、70年と、20年ごとに開かれていましたが、10年前倒して戦後80年の今年、開かれました。
背景にあるのは遺族の高齢化です。

【県遺族会 山下一夫副会長】
「戦争遺児という名前がついているのは20年生まれまで。僕の下までが遺児だが10年後はその人たちも90歳になって、どれだけの数の人が生きているのだろうと」
【県遺族会 西田富子会長】
「自分たちが生きている間に追悼式をしていただけることは本当によかったという声が県内各地からたくさんもらっていて本当にありがたいこと」

県遺族会の西田富子会長と山下一夫副会長。
2人は戦争で父親をなくした戦争遺児です。

【県遺族会 山下一夫副会長】
「これこれこれ。小学4年生。母」

満州で生まれ、戦後に引き揚げてきた山下さん。
見せてくれたのは31歳で亡くなった父・晃さんの葬式の写真です。
母・ヨシエさんは夫は生きていると信じていて葬式をあげたのは終戦から10年後だったといいます。

【県遺族会 山下一夫副会長】
「『脱走しようと誘いましたが体力がないのでしませんということで山下晃くんは一緒に逃げてきませんでした』。訪ね人で4通手紙がきて母親がやっと動いた。本当に死んでいると」
【県遺族会 西田富子会長】
「父と母。これお色直しの時の写真。結婚式終わってもう1ヶ月後には召集令状が来て行った」

西田さんの父・立石利春さんはビルマ・現在のミャンマーで29歳で戦死。
母・文子さんが西田さんを妊娠していることを知らないままでした。

【県遺族会 西田富子会長】
「子どもできたよ、生まれたよってもし父のもとに届いていたら帰ってきたかも分からない。頑張っていたかも分からないと、そういうことを今も思う。一度会いたかった。会いたかったし、お父さんと呼びたかった」

西田さんは現在80歳。山下さんは81歳。
あと10年遅ければ参列できなかったかもしれないー。
10年前倒しで開かれたからこそ今回の戦没者追悼式に特別な思いがあります。

【県遺族会 西田富子会長】
「今年はつなげてもらう、いい機会をもらった。80年という節目はつなげる、これが一番大きなことではないかなと」

迎えた戦没者追悼式の日。
参列した遺族の代表は約1200人、最高齢は戦争で兄をなくした有田町の川尻一子さん95歳です。

山下さんはこの日語り部として父や、満州から引き揚げた際の母の体験などを話しました。

【山下さんの語り部】
「引き揚げ船で赤ちゃんが亡くなると伝染病にかかっているから早く捨てろと泣きながら赤ちゃんを海に捨てていた姿を何人も見たと言っていた」

また、今回は遺族から直接話をきくことができるうちに想いや記憶を未来につなぐことも大きなテーマとしていて、これまでにはなかった平和への想いを伝達するセレモニーも行われました。

【県遺族会 西田富子会長】
「戦争の悲惨さ、そして尊い犠牲の上に今の平和があるということを、次の世代へとしっかりと伝えてまいります」

後世につないでいくと強い決意を述べた西田さん。
最後に献花が行われ代表者たちは静かに花をたむけていました。

【参列遺族最高齢 有田町 川尻一子さん】
「戦争はダメです。なんでもなくなってしまって。もう本当に今日はこういうふうにしていただいてありがとうございました。感謝してます。お兄ちゃんも喜んでると思います」

【県遺族会 山下一夫副会長】
「ちゃんと授けていかないといけない、伝えていかないといけないと思っている。立てる間は語り部続けますよ」

【県遺族会 西田富子会長】
「もうとにかく今も胸がいっぱい。みんなが笑い合える日が来るように、一日も早く戦争終わってほしい、今祈るような気持ち」
キーワードから探す
佐賀のニュース
特集ニュース

災害の記憶

豪雨、地震、大雪…近年激甚化する災害。過去の教訓を防災に生かしていこうと、県民のみなさんの災害の記憶をシリーズで掲載します。

さがリサーチα

佐賀のニュースをサガテレビの記者が掘り下げるコーナー。もっと知りたくなる佐賀を紹介。

ピックアップ

サガテレビ選りすぐりの企画ニュース、独自取材のニュースを掲載。

新幹線長崎ルート

戦争の記憶

終戦後、日本は、他国と戦火を交えていませんが、ウクライナ侵攻など戦争・紛争は絶えません。サガテレビでは、「戦争の記憶」を次世代へ語り継ぎ、平和について考える取材を続けていきます。

オスプレイ

オスプレイの佐賀空港配備計画の行方は…。サガテレビでは徹底取材を続けていきます。

参院選 佐賀 2025

DAILY NEWSランキング

こちらもおすすめ

全国のニュース FNNプライムオンライン