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西九州新幹線 周辺の観光 カギは"連携"と"2次交通網" 駅前バスロータリー整備へ【佐賀県鹿島市】

2022/08/31 (水) 20:10

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シリーズでお伝えしている西九州新幹線の光と影、今回は佐賀県鹿島市から。
市内には酒や有明海といった観光資源が豊富にありますが、新幹線は通らず特急列車も大きく減ります。今後どうやって観光客を呼び込むか、カギになっているのは市町の垣根を越えた連携です。

【鹿島市観光協会・中村雄一郎代表】
「ここまで来れば、もうスタートしたわけですからね、その条件でどう戦っていくのかという考え方に切り替えないとね」

鹿島市観光協会代表の中村雄一郎さんです。西九州新幹線の開業に伴い、市内を走る特急列車の本数は大幅に減ることになりますが、観光面で悲観はしていないといいます。

【鹿島市観光協会・中村雄一郎代表】
「この地域に、新幹線使って来られたお客様がね、上手く動いてくれるんじゃないかなと、周遊してくれるというか、そういう風な期待を持ってますので」

祐徳稲荷神社や有明海といった観光資源を生かし、交流人口を増やす、まちおこしに取り組んできた鹿島市。
新型コロナが広がる前までの20年間、市内の観光客数は右肩上がりで増加し、2019年は鳥栖市、佐賀市に次いで県内で3番目に多い数だったんです。

鹿島の観光資源といえば、“酒”も大きな強みの1つ。例年3月に開かれ、市内5つの酒蔵をめぐってそれぞれの地酒を堪能できる酒蔵ツーリズムには2日間で約10万人が訪れていました。
“酒どころ”としての知名度が上がり、普段から酒蔵を訪れる観光客も。

Qきょうはちなみにどちらから?
【沖縄からの観光客】
「沖縄からです。嬉野にきのう泊まって、まあ近いので。すごい風情あるなというか、通りの入り口から、すごく雰囲気もあってよかった」

【馬場酒造場・馬場第一郎社長】
「そこの蔵行きたいとかいう人がいらっしゃったら、どうにかして皆さん来られるんで」

県酒造組合の会長も務める馬場酒造場の馬場第一郎社長です。
酒と相性がよかった鉄道の利便性が低下する一方、馬場さんは「あまり気にしていない」と話します。

【馬場酒造場・馬場第一郎社長】
「たしかにやっぱり便数は、少ないより多い方が便利が良いし、人を呼び込みやすいとは思うんですよね。ただ私どもは、1蔵元として考えたときは、新幹線が来てどうなるのって、来なかったらどうなのというよりか、日々我々としては、いかにうちの酒のブランド力を上げていくか、そっちの方にずっと力を注いでいますので」

最も重要なのはそれぞれの酒のブランド力を高めること。ひいてはそれが鹿島市の魅力につながり、人を呼び込む力にもなると馬場さんは考えています。

【馬場酒造場・馬場第一郎社長】
「“実はきのう嬉野に泊まって、お宅のお酒飲んだら非常においしかったから買いに来ました”と言われるお客さんも、まあたまにですけどいらっしゃるので」

【鹿島市観光協会・中村雄一郎代表】
「観光というのは、あくまで点じゃなくて面でとらえていかなくちゃいけない」

今後の鹿島の観光を占う上で、観光協会の中村さんがポイントにあげるのが“周辺自治体との連携”です。

【鹿島市観光協会・中村雄一郎代表】
「"新幹線できたけども、通過されちゃって"という、そういう懸念を武雄・嬉野の方々は逆にお持ちになるんじゃないかと思いますけど、それだからこそ、一緒になって武雄と嬉野は宿泊があるわけですからね、そこを基点に降りていただいて、めぐってもらってまた泊まってもらうというような」

市内に宿泊施設はほとんどない鹿島市。一方、新たに新幹線が通り、温泉旅館が豊富な武雄・嬉野はいずれも車で30分圏内です。

【鹿島市観光協会・中村雄一郎代表】
「武雄・嬉野温泉に降りられたお客様、新大村も近いんですよね、降りられたお客様をいかにこの佐賀県の南西部、有明海沿いに引き込んでいくかという」

【中溝リポート】
「新幹線の利用者に鹿島まで足をのばしてもらうため、カギを握るのがこちらの肥前鹿島駅の周辺整備です。整備の狙いはこの駅を県南西部の交通の結節点にすることです」

【鹿島市・鹿島駅前周辺整備担当 岡秀和さん】
「交通と人の循環をもっと活性化させていきたいというのがあります。もう1つがまちの玄関口であり、鹿島市だけじゃなくて、佐賀県南西部の玄関口として整備をしていきましょうということで」

市は7月、肥前鹿島駅の大規模なリニューアル計画を発表。今後、在来線の利用客は大きく減少するとみられるなか鉄道の駅としてだけではない複合的な機能をもたせる狙いです。

【鹿島市・鹿島駅前周辺整備担当岡秀和さん】
「公共交通のロータリーを今回専用に設けていくんですけども、やっぱり新幹線の駅が武雄も嬉野も大村もここから30分圏内で、比較的近い場所にありますので、なるべくその中距離の行き来というか」

主にバスを受け入れる公共交通のロータリーです。武雄や嬉野で降りた新幹線の利用客を鹿島や太良にも周遊させるため、いわゆる二次交通としてバスの需要が高まるとみています。

【鹿島市・鹿島駅前周辺整備担当 岡秀和さん】
「その辺は、周辺自治体と連携をしっかりしながら、同時に鹿島市の観光の磨き上げというのもやりながら、なるべくこちらに来ていただけるようにはしたい」

新幹線の開業効果を高めるためには通るところも通らないところも含め、エリア全体で連携すること。そして、それぞれの強みを上手く結びつける仕掛けがいかに作れるかが課題になっています。

【アナウンサー】
ここからは取材を担当した中溝記者です。よろしくお願いします。鹿島市では新幹線の利用客を呼び込む二次交通としてバスが注目されているようですね。

【中溝】
そうですね、そもそもバスは現状でも鹿島を訪れる観光客の足として多く利用されています。コロナ前の2019年、鹿島を訪れた観光客428万人のうち、約3割、113万人はバスを使って訪れていました。
では、新幹線にあわせてどう強化していくのかですが、実際どれくらいの人が武雄や嬉野で降りるのかが見通せず、民間の事業者もいまは様子見という状況のようです。
ただ、いずれにしても新幹線の利用客を上手く周遊させるために交通インフラは欠かせませんので、これをどう整備していくかも含め、エリア全体で連携していく必要があると思います。
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