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【戦争の記憶】「特攻隊になると死ぬのは何時間後とわかる」 元日本海軍航空隊

2022/08/16 (火) 16:25

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太平洋戦争が終わってから77年。日本はその後、他国と戦火を交えていませんが、ウクライナ侵攻など戦争・紛争は絶えません。サガテレビが過去に取材した人の記憶を振り返り、改めて戦争、そして平和について考えます。

≪2015年2月5日放送≫
(年齢は放送当時)
元日本海軍航空隊の搭乗員で神埼市の仁井十四生さん90歳の戦争体験。

「特攻隊になると死というのは、何時に飛び立つ、沖縄まではいくらかかるというのが、わかって飛び立つから、はっきり死ぬのは何時間後とわかる。普通の時も死は覚悟しているがいつかはわからない。しかし、特攻隊になると必ず時間がきたら自分がおしまい」

神埼市の仁井十四生さん90歳。1941年・昭和16年5月、16歳で飛行予科練習生、いわゆる予科練に入ります。予科練の施設は当時、茨城県にあり、14歳から17歳までの少年に、日本海軍の戦闘機や爆撃機の搭乗員としての基礎訓練を施していました。

「佐賀県から22名です。とても『志願して軍隊に来るのは容易でない。徴兵検査できてちょうどいい。苦労する』と付添の水兵が言っていた。入隊して1週間ばかりはすすり泣く声がしていた」

仁井さんが入隊した年の12月8日に、日本はハワイ真珠湾に停泊中のアメリカ太平洋艦隊を奇襲攻撃、連合軍との全面戦争に突入します。3年近い訓練を終えた仁井さんは、通信や航法を受け持つ偵察員として艦上攻撃機に乗り込み、硫黄島やフィリピンでアメリカ軍との戦闘に明け暮れました。

「一番初めに行くときは、撃たれて声が出ないから覚悟しとけよ、あれやった。なるほど、高射砲はバーンと破裂する。爆風でこうなる。探照灯で照らされる。計器はわからない。声が出ない。爆弾は落としたけど、どうやって帰ったかという感じだった」

命がけの戦いを繰り返していたにもかかわらず、最前線での食糧事情は非常に悪く、時には虫を食べ、飢えをしのいでいました。

「一番手っ取り早いのはカタツムリだった。デンデンムシはタニシを食べるように、誰でも食べようとしなかった始めは。ひとり、『おれは死んだっていい、腹が減っているから食う』と言って、食べてうまいと言ったら、誰でも食べた」

戦争の初期、優位に戦いを進めていた日本は、連合軍の圧倒的な物量を前に次第に敗走するようになります。追い詰められた日本軍は飛行機の搭乗員もろとも、敵の船に体当たりさせる特別攻撃、いわゆる特攻作戦を本格化させます。その様子は、体当たりの直前まで、搭乗員からモールス信号を通じて送られてきていました。

「トトツートト、トトツートトとトを連送すると”突撃”で突っ込んでいる。そのときに、トツートツーツーツートトト、テハテハと打つと天皇陛下バンザイとなっているという話だった」

終戦まであと3日と迫った1945年・昭和20年8月12日、ついに仁井さんにも特攻するよう命令が下ります。

「一人息子に長男一歩前へ。次男、三男がのこった。残った者は神風特別攻撃隊八番隊を命ずる。私たちは3人乗りで、大きかったし偵察員であるから、特攻隊というのは全然ないと思っていた。搭乗割を見たら私が1番。いままでそんなに考えたことはなかったが、おふくろはどうしているのだろうか。兄弟はどうだろうか、酒もいけんです。何時間後には死ぬというのがわかっている」

死を覚悟した仁井さん。しかし、運命は思いがけない方向へと進みます。仁井さんがいた台湾の基地では、爆弾が底を尽き魚雷しかなかったのです。魚雷は体当たりしても爆発しないため、特攻ではなく通常の攻撃に切り替えられ、仁井さんは一命を取り留めました。

Q,もし爆弾があったら?
「もう帰ってないです。爆弾があったら突っ込んでいるので」攻撃を終え、そのまま終戦の報を聞いた仁井さん。同期生1237人のうち、3分の1は戦死。22人いた佐賀出身の同期も、生きて終戦を迎えたのは仁井さんを含め2人でした。

「終戦になったら、いままでもう死の恐怖じゃないけど、戦争というと情け無用でしょうが。情けをかけていたら自分がやられる。終戦になって、よかったなではなく、結局は死が頭にこびりついている。これから解放されるということで、なんというか、なんやかんや考えるのではなし、死からの解放だった」

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