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「53年間で一番厳しい」急速な飼料高騰に追い付かず酪農業界が悲鳴【佐賀県】

2022/06/24 (金) 19:10

急速に進む円安やウクライナ情勢などの影響で、穀物の価格が高騰しています。打撃を受けているのが穀物を牛の餌に使う酪農家。飼育する牛の数を減らして対応していますが、厳しい状況に追い込まれています。

【県酪農協議会 横尾文三会長】
「われわれの力ではどうしようもないところで、こういう経営危機を迎えている。53年間の中では一番今が厳しいかもしれない」

神埼市脊振町にあるミルン脊振牧場。
約30頭の牛を飼育する横尾文三さんは、酪農に携わり53年、現在、県酪農協議会の会長も務めています。

【県酪農協議会 横尾文三会長】
「ほとんどウクライナとかアメリカとか輸入品ばかり。日本の穀物はない」

乳牛1頭につき1日15キロの干し草とトウモロコシなどの穀物を混ぜ合わせた配合飼料が13キロ必要です。円安やウクライナ情勢の影響で乳牛の餌となる配合飼料の価格が2割ほど高騰。飼料のほとんどを輸入に頼っていたことから酪農家の経営を圧迫しています。

【県酪農協議会 横尾文三会長】
「人間でも1日2000円食べる人あまりいないでしょ?牛は2000円くらい食べさせないと30キロ乳が出ない」

乳牛の栄養状態や生乳の量を維持するため餌の量は変えられず、横尾さんは飼育数を減らしました。さらに、生乳の栄養バランスを崩さないよう算出したうえで必要以上の餌を与えないなど経費削減に努めています。

【県酪農協議会 横尾文三会長】
「ここで諦める酪農家がどっと出てくる間違いなく。先が見えない。業として成り立たないのであれば後継者も育たない」

生産者の厳しい状況を受けJA佐賀中央会などは6月17日、国への働きかけや県独自の対応を求めました。
一方、国は6月21日に岸田首相が飼料コストの抑制に向けた新たな支援を表明しました。

【県酪農協議会 横尾文三会長】
「一回辞めた農家は二度と復帰しない。継続するための支援、辞めずに済むような施策をしていただければ。消費者には1本でも余計飲んでくださいというのが正直なところ。それしかない」

乳牛の餌代など経費が急激に増えていく中、すぐに生乳の販売価格に反映できない業界の仕組みがあり、支出だけが増え続けていきます。
飼料価格の高騰は、長引くことが予測され、一刻も早い国や県の支援が待たれます。

餌の高騰への備えとしまして、農家、国、飼料メーカーが基金を積み立てる制度があり、今回の値上がりを受け農家には継続して餌代の補助が出ています。ただ、価格の高騰が続いているため、現在は農家の積立金自体も1トンあたり200円値上がりしています。佐賀県はこの値上がり分を補填する議案を議会に提出するなどして農家の支援に乗り出しています
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