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「聞こえなかった」佐賀豪雨 聴覚障害者の証言【佐賀県武雄市】

2021/07/06 (火) 19:25

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佐賀県内の災害の記憶をお伝えするシリーズ災害・私の記憶。
県内に記録的な大雨が降った「佐賀豪雨」から8月で2年が経ちます。

武雄市で被災した聴覚に障害がある男性は、雨の音が聞こえず、泥臭いにおいで目が覚めたと話します。

武雄市にある高橋駅のほぼ正面。40年以上暮らした家の場所は、きれいなさら地になっていました。
平原圭介さん45歳。生まれつき、耳がほとんど聞こえません。
佐賀豪雨の日は、いつものように家の2階で寝ていました。

聴覚障害者 平原圭介さん:「雨の音は聞こえなかった。寝ているときは補聴器を外す。音ではなく泥臭いにおいで目が覚めた」
2019年8月28日ー
当時の中継:「どこが川で、どこが道路なのか境目が全く分からなくなっている。車が動けなくなっている。今1台大きな車が来たが、大きな波をたててゆっくり進んでいる」
雨の音が聞こえなかった平原さん。
起きたときには、家の前の道路はまるで川のようになり、大型トラックも流されていました。
聴覚障害者 平原圭介さん:「起きてからまず最初に心配だったのは下(1階)の息子がどうしているかが気がかりだった。息子にメールをしたが返事もなかった」
自宅の1階は完全に浸水。息子は自力で駅に避難し、消防に救助されていました。

各地で冠水し、救助される住民も相次いだ武雄市。
自宅にいた平原さんも消防から避難を促されました。しかし、身の危険より周りの人とコミュニケーションがとれるか不安で、あえて断ったと言います。
聴覚障害者 平原圭介さん:「(避難所で)情報がきちんと自分に届くのか不安があって避難しなかった。もし避難する場所が、きちんとろうあ者(聴覚障害者)に合った利用しやすいものだった場合は避難したかもしれない」

避難所には行かず、自宅にとどまることを決めた平原さん。
給湯器が壊れていたため、水風呂の毎日でした。
聴覚障害者 平原圭介さん:「困ったことは情報が届かないこと。自衛隊が準備した風呂や食事の配給、罹災証明書など、いろんなことを後から聞いた」
自衛隊の入浴支援は、武雄市では豪雨から3日後に始まっていました。
しかし、平原さんがそれを知ったのは約2週間後でした。

現在は、武雄市内の市営住宅に引っ越しています。
去年6月、県聴覚障害者協会の事務長に就任した平原さん。豪雨での自分の経験を広く伝えようと、当時の記録を17分の映像にまとめています。
聴覚障害者 平原圭介さん:「一般的に聴覚障害者は(周囲と)付き合いがないと理解してもらえない部分がどうしてもある。聞こえる人から見ても、コミュニケーションの方法などどうすればいいのか分からない人が多いと思う」
県内の聴覚障害者は約3600人。
平原さんは、作成したDVDを県内の手話サークルなどに寄付し、聴覚障害者の立場から防災を模索しています。

聴覚障害者 平原圭介さん:「災害が起こったときに情報をまず頂きたい。地域のみなさんにも協力してもらえたら」
平原さんは「災害の時に情報がほしい」と話していましたが、具体的には、例えば行政から個別にメールやFAXなどで食料の配布や入浴支援の情報がもらえるとありがたい、ということです。

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