佐賀のニュース
“沈黙の語り部” 大水害「28水」伝える石碑 地域の災害リスク
2020/10/16 (金) 16:15
いまから67年前の昭和28年1953年に佐賀県内各地を襲った大水害いわゆる“28水”。災害の記憶を風化させないよう残された石碑を調査して回る男性に話を聞きました。
【佐賀県防災士会・本山和文さん】「昭和28年の水害を語れる、いわゆる語り部になれる方がもうだいぶご高齢になってなかなかそのお話を聞くことも難しくなってきているんじゃないかなと。ですからこういう石碑とかに書いてあること、これ“沈黙の語り部”なんですね」
県防災士会の本山和文(もとやま・かずふみ)さん62歳。8年ほど前から、県内各地にある過去の大きな災害の犠牲者や被害の状況が刻まれた石碑などを調査しています。
【県防災士会・本山和文さん】「この方、石丸久光さんというのは蛎久地区の区長さんをされていた。前日から雨がものすごくひどく降ったもんですからそこに見える堤防、これを補強するために青年団とか消防団とかを指揮監督しながら最後まで警戒にあたっていらっしゃったんです。ところが警戒中に堤防が決壊しちゃったんですね。1人取り残されて、お亡くなりになったと」
「昭和28年6月下旬、本県を襲った豪雨は大水害となり、河川は氾濫し家は押し流され、田も畑も一瞬にしてとうとうと濁水うずまく泥海と化し、また、尊い人命を失い、本県水害史上まれに見る大損害を与えたのであります」
戦後、復興が進む佐賀を襲った昭和28年の大水害、いわゆる“28水”です。平野部で600ミリ、山間部では多いところで900ミリの雨が降ったとされ、県内各地で堤防が決壊し河川が氾濫、59人が命を落とし、3人が行方不明となりました。
【県防災士会・本山和文さん】「ここに書いてありますけど、ここに殉職の地を選び、ですからここですよね、ここで亡くなって、水魔の守護神としてこの碑を建て、ということで、やはりこの方を祭ることによって昔の水害のことを伝えると同時に水害が起きないようにという願いが込められているんだろうなと」
およそ70年の時を超え、その当時濁流となって押し寄せた土砂の高さが分かる遺構も残っています。
【県防災士会・本山和文さん】「70センチくらいですか」Q「色が変わっているところから?」「ですね。70センチくらいになりますかね。しかも下(の土台)は埋まっていますから全部入れると大体90センチくらいにはなるんじゃないかなと思います」「いまのこのきれいな田園風景もこれだけの土砂で埋まったということです。先ほどの石丸久光さんの碑のそばで決壊してこちらまでずっと濁流が流れてきた。で土砂が堆積した」「距離としてはどうでしょう、1キロかそこらくらいあるんじゃないですかね」
本山さんによると“28水”の記憶を伝える遺産は県内14カ所にありますが、中には風化してしまい碑文が読めなくなっているものもあります。
【県防災士会・本山和文さん】「(昭和)28年の水害は向こうがすぐ祇園川なんですけれども、祇園川も氾濫しているんですね。それでその水害復旧記念碑という風に建っています。ただもう碑文が本当に読めなくなってきてまして」「世代交代する中でこういう碑も忘れられていくんですね。そうしますとやっぱりここにせっかく書いてある私たちの先人たちのメッセージ、教訓、こういったものが伝わらなくなっていくし」
幸いにも、この石碑の碑文はそのすべてが旧三日月町の町史に記されています。「未曾有の豪雨に依り、各河川は瞬時に氾濫」「濁流の土砂は当部落全域に流入し、忽(たちまち)にして泥海(どろうみ)と化し惨害は其の極みに達す」
【県防災士会・本山和文さん】「災害というのは例えばスパンから言えば50年のスパンかもしれないし、もっと長いかも分からない」「いま住んでいて、いまは水害起きていないけれども、またいつここに書いてあるように“未曾有の豪雨”がこないとも限らない」「まず石碑なんかが建っているということはその地域の災害リスクなんですね。佐賀県全部じゃなくてこの碑が建っているこの周辺の災害リスクなんですね」「“ちょっと強い雨降り出したな”“ここに水害の復旧記念碑があるよね”“そしたらうちの地域は水害の可能性高いから早めに避難しよう”とか、そういう風なものにつなげていけるんじゃないかなと思うんですけどね」
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